スノーボードを少し斜め上の視点から読み解こう

雪山に篭もるか迷っている人へ。一生に一度、山へ篭ろう。山に篭って身にしみた5つのこと。

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そろそろ雪の便りが聞こえてきて、雪山に向けウォーミングアップを初めている方も多い時期かと思います。

特にこの時期は、

  • どこの山へ滑りに行こうか
  • 今年こそはスキー場へ篭りたい
  • 仕事を辞めて雪山で生活をしたい

などと考えている人も多いかと思います。

いっその事、今の仕事をすべて放り出して、「好きなこと」だけして生きていく的な流れも今の時代それほど異端ではない気がします。

そのような方はまずこの本がオススメです。

無駄に生きるな熱く死ね (Sanctuary books)
直江 文忠
サンクチュアリ出版
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10年程前の本ですがアマゾンで中古で50円程度です。

僕の場合、

僕は、バリバリのサラリーマンでしたが、学生の頃に山に篭っていました。
場所は白馬コルチナスキーです。期間は2ヶ月程と短かったですが非常に貴重な体験ができました。

たった2ヶ月ではありましたが、あれから10年以上経ち、今思うと、あの時の日々は、これから先もずっと忘れることがない貴重な思い出の一つであることは間違いありません。

そんな僕の経験から、今回は「山へ篭もる(こもる)」というテーマでメリットを語りたいと思います。

山に篭もること
それは良くも悪くも一生の思い出となります

雪山の思い出

これに尽きるかと思います。

スキー場というのは、今の生活と異なり、ある意味で非日常的な世界です。

長く生活するとなにをするにも「不便」であり、環境も「厳しい」です。

そして、雪山で働くのであれば、通常の生活より遥かにたくさんの出会いがあります。

普通に学生や社会人として毎日のルーティーンを過ごしていると、極論を言えば、似た者同士が集まりやすく、さらには慣れが生まれ、通常の生活の中でそこから抜け出すことは難しいと言えます。

一歩を踏み出してスキー場に篭ってみると、良い意味でも悪い意味でも今まで出会ったことのない類の人たちとたくさん出会います。

職業、年齢、出身、人種などすべての垣根を超えてさまざまな人達が雪山にはいます。
今まで出会ったことがない、頭のネジが2つか3つ外れているような人もいます。

例えば、

山に篭もる前、僕の周りには「なかなか頭がおかしいヤツだな」という友人がいました。
ですが、山に篭って、そんなこと比にならない(むしろ気にすらしない)人たちとたくさん出会い、下山してにいつもの生活に戻る。
下山した僕の目に写る友人は、「あいつはおかしいなヤツには変わりないが、広く捉えるとまともな部類かも」と感じるようになりました。

普段出会うことがない人たちと出会うことは、自分の考えや視野が広がることにも繋がります。
僕は当時まだ10代でしたが、僕にとっては、毎日が刺激的で、自然環境とは別の意味で「非日常的」でした。

これから何十年も歳をとって、スノーボードができない体となっても、おそらく記憶に残る一生の思い出になることは間違いないかと思います。

僕は2011年に会社を辞めて世界一周の旅に出ていました。
世界一周でももちろん様々な体験をしましたが、今思うと、雪山に篭っていた記憶のほうが濃かったと断言できます。

世界一周では当然ながらそれなりの貯金が必要です。
例えば、世界一周中に出会った同じ旅行中の日本人は、やはり似た者同士であったと思います。世界を見て回るという同じような考えがあり、そのために計画して貯金をして、ネジが外れているようで将来も考えている、きちんと旅行日程も計画して意識も高い、そんな似た者同士の人が多かったという印象です。

ですが、山の場合は異なります。

普段ならば絶対に出会うことがない人たちとスノーボードを通じてセッションをする。

そのあとにみんなで今日のライディングを振り返る。
そこには職業、地位、肩書き、すべてが関係がなく、必要性もありません。

濃い思い出と感じたのは、

職業、地位、肩書き、すべてが関係がない環境において、年齢、出身、人種、性格なども関係なく、言葉を超えた感動を共有できる

からなのではないかと思います。

一度乗れるようになった自転車の乗り方は忘れない
集中的に鍛えたライディングテクニックも忘れない

スノーボードは忘れない

スポーツの上達方法には色々な諸説がありますが、
集約すると、上達の近道は、紛れもなく「練習量」と「毎日コツコツと積み重ねる」ことに尽きます。

雪山に篭もるということは、それができる環境であると言えます。

スノーボードだけではなく、水泳やテニス、ギターなどでも練習などにより保持される運動パターンは、潜在的な記憶として長く忘れることはないと言われています。
それは、10年ぶりにマニュアル車に乗っても意外と乗りこなせたり、自転車の乗り方を忘れないのと同じです。

もちろん長時間のブランクがあれば、パフォーマンスは落ちるかと思いますが、それは技術的なパフォーマンスというより、自分の運動能力が年齢と共に下がっており、脳ではできると思っているのに体が動かないという状況に似ているかと思います。

テニスの伊達公子選手が12年振りに復帰して黒星を飾ったり、スノーボードでも今井メロ選手が、10年ぶりにいきなり復帰して優勝するなどの記憶も新しいです。

毎日テーマを決めて滑ることができる贅沢

テーマを決めて滑る

今日はコブ、明日はスイッチスタンス、明後日はカービング、その次は・・・ と言った具合です。

「今日は断固としてレギュラーで滑らない、スイッチスタンスを鍛える!」

今思うと、そんな事、月に2-3回程度しか滑ることができない、サラリーマン時代のサンデーボーダーだった僕からすると、もったいなくて絶対できない事だったと思います。
せっかくお金と時間をかけてスキー場まで来たからには、とにかく遊び尽くしたいので。。

月の数回だけのスキー場での滑走だけでは、どうしても楽しむことを優先してしまい、技術を追求することへの優先順位は下がってしまいがちです。

滑る時間がたくさんあり、色々と試行錯誤ができる、イメージしたら明日の滑りでチャレンジできる、それができるのは山籠もりの魅力かと思います。

雪質の違いが見えてくる

雪質の違い

山に篭もるまでは、そんなこと意識することもありませんでした。
天候やパウダーなのか否かという程度、もちろんシーズンピークと春先では雪質は全く異なりますが、それほど雪質を意識したことはありませんでした。

スキー場の篭り、毎日滑っていると、天気、気温、前日の状況や季節の移り変わりで微妙に雪質が変わってくる点など今まで意識したことがない部分が見えてきました。
そして改めてWAXと向き合うことになりました。

とはいうものの、正直、一番自分の中で経験が上がったこと、
それは、

雪道で運転技術が格段にアップしたこと に尽きます。

気温、雪質、時間、轍(わだち)、傾斜、これらを複合して、なんとなくこれは滑る、ここは気をつけようという雪道での運転の経験値が上がります。

なにより、一歩間違えると死ぬ可能性も高いため、本能的に身につきます。

都会の便利さを身にしみると共に、都会派なのか自然派なのか自分の性格がわかる

都会派雪山派

将来は雪山の近くに移住したいという方でも、実際に山に篭もると「やっぱり都会がいい!」という方もいれば、完全に都会派だった人が実際に山で過ごすとどっぷりハマってしまって下界に戻らなくなってしまったという人もいます。

こればかりは、実際に経験してみないことには分かりません。

ただ、僕の経験則的には、20歳を過ぎればその人の適正は大きく変化しないかと思っています。
つまり、若い頃に山に篭って、やっぱりしっくりこなかったならば、それが40歳になって気持ちが変化することはあまりないような気がします。

ちなみに、僕の場合

雪山に強い憧れがありましたが、実際に生活をすると「都会派」であると悟りました。
残念ながら「自然」より「便利」を選んでしまいます。

短期的な不便は問題ありませんが、それが継続すると若干ストレスを感じます。
電車に乗り遅れ、次の電車が1時間後だと苛立ってしまいます。

あと、「虫」が全然ダメでした。全く触れません、慣れる気配もありません。
今でも白馬には毎月行っていますが、1時間あたり2匹は現れるカメムシは未だに倒せません。
極めつけは「毛虫アレルギー」であると判明し、毛虫の半径30cmに入ると蕁麻疹がでることが判明しました。

完全に詰みました。

ただ、不幸中の幸いとしては、僕は10代の頃に山に篭っていたということです。
例えば今の30代で仕事を辞めて、「山へ篭ろう!」と意気揚々に田舎に移住でもしていたものならば人生が狂っていたかも知れません。

そういった意味でも山籠もりは、自分の性格が色々とよくわかります。

最後に
新しい環境・新しい出会いはとにかく楽しい

雪山に篭もる

僕の場合、山に篭っていた時期は、一生の思い出になっています。今でもたまに思い出します。

また、白馬コルチナスキー場で篭りながら働いたときは、同僚を含めて実に色々な人がいました。当時の同僚であった出稼ぎのブラジル人とは今でも連絡をとっています。
その時に英語ができずコミュニケーションが取れなかった悔しさで、篭って稼いだお金は1円も使わずに貯めて、翌年にニュージーランドへ留学しました。

サラリーマン時代には、残業が続き超激務な労働であっても、「あの時の出稼ぎブラジル人たちの超アグレッシブな仕事量と比べれば」と思うこともありました。
(血尿まででて僕にとって人生最高の激務でしたがブラジル人たちは笑いながら仕事をこなしていました。詳しくは以前のエントリーにて。)

また、ニュージーランド留学で培った語学力は、その後の仕事や世界一周旅行の時にも大いに役に立ちました。

そして、今現在に至っては、偶然にも当社の白馬オフィスは、白馬コルチナスキー場のすぐ麓にあります。

僕の場合、良くも悪くも山へ篭ったことから少しずつ視野が広がり今につながっていると感じています。
またそこから生まれる今後の人生を左右する偶然や可能性も少なくともゼロではないかと思います。

もちろんそれは全てではありませんが、少なくとも、山へ篭り、今の環境から離れるということは、長い人生の中で決して無駄ではなく、その経験はきっとどこかで活かされるのではないかと思います。

そろそろシーズンが開始となります。

山籠もりの準備は整っていますか?

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この記事を書いた人

生粋のスノーボーダー。
よくお勧めのブランドは?と聞かれるが、ボードはやはりB-POP、ウェアはジーンズメイト、ブーツはNAKED派。来季はMASSOへ乗り換え検討中。
世界各地をバックパッカー、NZ留学、ヨーロッパ自転車横断を経て東京理科大卒業後、金融業界でサンデーボーダーに転身、その後世界一周を経てスノーボード買取専門店のスノーボード買取モンスター(モンスタークリフ株式会社)を創業。

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