スノーボードを少し斜め上の視点から読み解こう

撤退してからではもう遅い。スキー場やパークがなくなる前に感じる「事業者としての想い」と「お客としての愛」のすれ違い。

撤退するスキー場とクラファン

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この10年間でスキー場(リフトの一部停止含む)やパークなどが撤退するケースが時代の流れとともに多くなってきました。

撤退するスキー場やパーク、リフトのニュースが流れるたびに

なんとか存続してほしい!!

という声がSNSを中心に叫ばれる。

そして、クラファン(クラウドファウンディング)などで有志が資金を募り存続をスキー場運営会社や町や村へ掛け合うなどの動きやニュースを見る機会も少なくありません。

SNSで声がダイレクトに届き無視できない影響力を持ち、またクラファンなどにより賛同者がいれば昔よりスムーズに資金の調達が可能になっているという背景も大きいと思います。

整理するとプレイヤーは大きく2者存在します。

  • スキー場事業者側
  • 継続してもらいたいと声を上げるお客さん側

事業を停止する運営側、継続してもらいたいと声を上げるお客側、重要なことはどちらも「己の正義と愛」のために決断をしています。

そんなクラファンやSNSでの発信を中立的な視点でみるたびに思うことが1つ

「事業者としての想い」と「お客としての愛」がすれ違っていないか?

ということです。

前置きが長くなりましたが、今回は撤退というシチュエーションにおいて中立的な立場から賛否両論あるであろうこの問題に対して、「事業者」と「お客」という2者の視点からこうであってほしいという個人的な願望を込めてのエントリーとなります。

目次

継続のために動くお客側へ伝えたいこと

事前のヒアリングをしてほしい

継続してほしいという声を上げることは決して悪いことではなく、むしろスキー場に対する愛情と言えます。
そんな声が上がるスキー場はすばらしいお客さんに支えられ、ある意味本望であると思います。

その反面で事業者側にとっては、スキー場やパークが廃止となるには当たり前ですが「理由」があります。

原因があって決断(結果)がある。

これが原則です。

  • スキー場が認知されておらず本来の良さが伝わっていない
  • パークのディガーとの契約が終わってしまい継続先が見つからない
  • 売上は黒字だがリフトが老朽化で継続が難しい
  • 経営母体の経営が厳しい
  • 助成金が打ち切られてしまった

どのような理由によって撤退となるのか。この全体像を掴めていない状態でただ声を上げるだけでは継続をさせたい有志や賛同が多数集まってもなにに問題があったのか曖昧であり、そもそも根本的な解決にはならないと感じます。

コア層にとってはアツい想いだけで十分かも知れませんが、何度か足を運んだことがあるのでできれば応援したいなと感じる大多数のライト層を動かすにはストーリー(含む原因理由)が必要です。

その原因を知ってはじめて解決に必要な資金をクラファンなどで募ったり、PR上の問題であるのであればSNSへ声を上げるというのが正しい方向性であると感じます。

そしてその理由が到底解決できる理由でないものであるとすれば、SNSでの発信やクラファンなどの方向性をかえて施設最後のお別れ会や御礼などを催すこと等を行って最後の別れとするのが事業者・お客双方とって最善であると思います。

逆に撤退の理由を少しも開示できない場合、残念ながらそれはそれで一方的な片思いだったのだと思うほかないと思います。

クラファンはAll or Nothing方式であってほしい

クラファンを知らない方へ説明するとクラウドファウンディングでは2種類の募集方法があります。

All-In方式

募集期間中に集まった支援金の金額に関わらずプロジェクトを実行する方式です。集まった支援金が目標に達成しなかったとしてもお金を受け取ることが可能です。

All or Nothing方式

目標金額を達成した場合に支援金を受け取ることが可能な方式です。目標金額に達成しなかった場合はクラファンの申込みがキャンセルとなります。

状況によりますが、事業者側ではなく、継続を望む有志側が行うクラファンにおいては、All or Nothing方式であってほしいと願います。

重要であるのは「賛同者(お客)の人数」です。

スキー場とはリピーターがつくことで成立します。
つまり目標以上の人数や金額が集まらない限りそのプロジェクトは持続不可能であると言えます。なによりスキー場を継続させるには従来のスキー場以上の継続的なPR力が最低限必要であると言えます。クラファンはあくまでスタートラインであって、それから先の継続を考えると相当な胆力と覚悟が必要です。

仮に撤退や縮小をする場合、スキー場側の事業者は覚悟をもってして決断しているでしょう。

その覚悟に異議を唱えることができるのか? 覚悟を決めた人と渡り合えるのは覚悟を決めた人のみ。
その撤退や縮小に対して反対や支援の声を上げる場合、応援やサポートを主導側にも相応の「覚悟」が必要といえます。

つまりAll or Nothing方式にて応援するお客の本気度と真意を問いてほしいと思っています。


また前述にて「事前のヒアリング」の延長線となりますが、クラファンでの目標資金が明らかに低い(数百万円程度など)となっているケースも過去に目にしてきました。

もはや少しの故障でその金額をゆうに超えるお金が飛ぶ索道業界(リフト等)においてその目標金額の持続可能性に疑問が残るケースもあります。

むしろ応援をしたい第三者にとっても、その信ぴょう性と方向性においてクラファンに申し込みするのを敬遠してしまう方も一定数いるかと思います。

つまり、熱意だけを先行させるのではなく問題と解決の方向性をセットにして発信することで事業者とお客側双方がウィンウィンの関係になると感じます。

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事業者側へ伝えたいこと

撤退や縮小の方向性はある程度告知してほしい

これに尽きます。

おそらく非常に難しく且つセンシティブな問題であり、継続か撤退か最終的に悩んだ上でオフシーズンに判断となるケースもあるかと思います。

ただ、スキー場は営利目的であるもののそこに通うスキー・スノーボーダーもいて、スキーをしたい人と事業を継続する事業者は一蓮托生といえます。第3セクター(公共・民間が一体となり運営する方式)のスキー場が存在するように一定の公共性があるともいえます。

なによりスキー場が「思い出の場所」となっている方もいると思います。

それがいかなる理由であれ、できればオフシーズンにいきなり止めますではなく、シーズン中に「別れを惜しむ時間」がほしいと願います。

そして、その声を上げることで個人のSNSの力を持って最後の最後に奇跡が起こるかも知れない可能性に賭けてほしいと願います。

さいごに

本エントリーには賛否両論あるかと思います。

事業者としては継続させたいと思うのは当然であり、お客側にとっても同様です。

ただ、「事業者としての想い」と「お客側としての愛」がすれ違ってしまっている。そんな状況が多いのではと感じます。

ですがどちらの想いも尊重されるべきであると思います。

スキー場とは非日常的な場所であり、それぞれが通った思い出が詰まっている場所です。

結果的にどうなるにせよ最後には双方がウィンウィンもしくは整理のつく状態で送られてほしいと願う次第です。

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この記事を書いた人

生粋のスノーボーダー。
よくお勧めのブランドは?と聞かれるが、ボードはやはりB-POP、ウェアはジーンズメイト、ブーツはNAKED派。来季はMASSOへ乗り換え検討中。
世界各地をバックパッカー、NZ留学、ヨーロッパ自転車横断を経て東京理科大卒業後、金融業界でサンデーボーダーに転身、その後世界一周を経てスノーボード買取専門店のスノーボード買取モンスター(モンスタークリフ株式会社)を創業。

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