スノーボードを少し斜め上の視点から読み解こう

スノーボードを開発して思った「目指すべき適正なスノーボードの価格」とはなにか

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今回僕が所属するモンスタークリフ㈱では、今年1月頃からスノーボードの開発に着手し、実際に19-20シーズンに向けて限定本数ながら販売を開始する予定です。

実際にスノーボードを開発するにあたって、「目指すべき適正なスノーボードの価格」とは一体なにか、ということを定義したいと思いその考えを共有できればと思います。

はじめに:開発中のスノーボードについて

「白馬の山を滑るためのスノーボード」というコンセプトにて「THE DAY. HAKUBA SPECIAL」(通称、白馬スペシャル)というスノーボードを開発し、現在中国にて生産を行っています。

当社は白馬村に位置しており、白馬の山々でのライドに精通したスタッフと共に開発を行い、将来的には白馬の特定のコース・ラインだけに特化したモデルも投入したいと思っています。

販売については、一般的なメーカーと異なり、D2C(Direct to Consumer)という考え方にて、卸やショップ、他ECサイトなどには卸をせずに、「全ての間接的な商取引をせずに、商品を直接的に販売する」方法としています。

白馬スペシャル

価格は「3万円(+税)」の予定で、パウダーボードとしては限界の価格に挑戦しています。

クラウドファウンディングで開発資金や予約を確保したり、楽天などで販売したり、販売力のあるショップに限定的に卸したり予約をもらったりなど、昨今では色々と方法はありますが、「3万円(+税)」という価格で勝負するために、全てを行わずそれらの手数料をも削り、金銭的なリスクも追う方法をとっています。

またお金の問題以上に、直接販売することで、スノーボードに対する、良い意見も悪い意見も直接聞きたいという理由も大きいです。なお、今回の白馬スペシャルについては別途記事をアップできればと思っています。


「安かろう悪かろう」という時代は薄れつつある

スノーボードの適正な価格とは

今回1月から中国の工場と交渉をしており、現地に行ってボードを確認したり、実際にテストボードを生産して、白馬の山々で滑り調整してきました。

例えば国内ブランドでは中国にある「YAQUI FACTORY(ヤクイ工場)」の比率が高いですが、どれも品質は良いと言えます。

検索で調べてもらえれば簡単に分かりますが、「え、あのボードもYAQUIだったのか?」ということになります。

今回開発中の白馬スペシャルは、敢えてYAQUI工場ではないのですが、今回中国企業とやりとりをして総じて思ったことがあります。

「早い、誠実、物もなかなか良い!!」

ということです。

僕は現在30代ですが、10代のときによく言われていたような、「安かろう悪かろう」という固定概念がどうしても頭の隅にありました。

最近では、色々なメディアにて、中国の発展は目覚ましく、一定の市場ではもはや日本は中国の背中を追いかけていると言われているご時世で、その理由の一旦を肌で感じたという感じでした。

レスポンスの速さ、生産までの工程、価格調整と意思決定、テストボードのフォローなど、新規顧客でさらにロット数が最も少ないであろう当社みたいな弱小企業に対しても、むしろあちらのスピード感についていくのが大変なくらいと言っても過言ではありませんでした。

 

なぜ3万円という価格なのか

価格

話を価格に戻します。
白馬スペシャルは「3万円+税」の販売予定です。

開発をしているモンスタークリフでは、中古スノーボードの買取を行う「スノーボード買取モンスター」を運営しています。そのミッションは使わなくなったスノーボードをリユースすることで、「スノーボードをもっと気軽で身近な遊びにすること」にあります。

そのため、限界の限界まで販促費用を削り、卸しや手数料ビジネスすら介さず、且つ最低限の利益を残すと考えつつも、「誰でも気軽に購入できる限界の価格帯」を目指した結果となっています。

スノーボードの生産といえど、輸送コストや輸送時の保険、関税、製造物責任(PL)対応など、販促やマーケティング的な要素を除いても色々とお金がかかります。
まだ生産段階のため、蓋を開けてみると、利益ゼロでしたという可能性も大いにあります。

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前述で記載の通り、もはや中国生産のモノは、決して悪くはありません。
それは国産をディスっているのではなく、むしろ国産と比較するのであれば、やはり国産のほうが性能は間違いなく良いと言えると思います。

ただ、9万円のパウダーボードと3万円のパウダーボードとの差「6万円」に、「6万円に値する差」があるのかと言えば、その考え方は人それぞれになるかと思いますし、むしろその差には6万円以上の価値があると考える人も決して少なくないかと思っています。

ランチ5,000円理論と目指すべき適正価格帯

僕の中では

「ランチ5,000円理論」

という考えがあります。(僕の個人的な理論です。)

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ランチ5000円理論
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つまり、ランチ代金5,000円までは、おいしさに純粋に比例するということです。

具体的には、1,000円のランチと3,000円のランチではおいしさが3倍違うということです。

ですが、5,000円超えると、比率が変わり、価格と美味しさはかならずしも均衡ではなくなります。

そこから先は、好みやサービスなどの充足感が代替していく領域に向かうと思います。

つまり、1万円のランチは、5,000円のランチより2倍美味しい訳ではないということです。ただ、充足感という美味しさ以外のポイントを加味した総合点では、2倍になる可能性はあります。

これが僕が思う「ランチ5,000円理論」となります。

ある一定のラインを超えた領域、料理でいう「充足感」という部分について、これをスノーボードに当てはめると、「環境や楽しさ」に該当するかと思っています。
そして、料理と異なり、スノーボードにおいては、これらは相手から提供されるものではなく、自分自身の問題となります。

それを踏まえた上で、適正価格として目指すべきところは、「性能(たのしさ)と価格の均衡が一番とれているポイント」であると思っています。

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スノーボードの適正価格
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今回の白馬スペシャルの3万円という価格が、どのように受け止められるのか正直わかりません。

この性能と価格が比例するポイントが今回販売する「3万円」という価格として受け入れられることができれば、当社としては非常に嬉しい限りだと思っています。

参考:スノーボードたこ焼き理論はこちら
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ブランディングとボード人口のジレンマ

ジレンマ

9万円のパウダーボードと3万円のパウダーボードには「6万円」の差があります。

「9万円のパウダーボード」ー「3万円の白馬スペシャル」
 = 性能 & ブランド & 販売管理費の差

目次

「ブランディングと販売管理費」を除くとどうなるのか。

例えば、国産のボードが、5万円で販売されていたら、いずれはブランドとして安物として見られブランド価値は低く見られるのではないでしょうか?

さまざまなブランドが色々なモデルを販売している中で、やはりそれなりのブランドはそれなりに高いというのが現状です。

ハイブランドで一式を揃えるとハードだけで10万円はかるく超えて行きます。

では、
スノーボード人口が今の2倍になったとしたら、それらは少し安くなるのか?! 

答えはノー、かと思います。おそらく価格は、変わらないかと思います。
ヴィトンのバッグが世界中でバカ売れしても値段は決して変わらないのと同じです。

それがブランドであり、安くしすぎたブランドは毀損するリスクすらあります。
スノーボードのような流行に敏感な若者が主流のスポーツの中でブランディングは特に重要であり、一方で、家庭のお財布が厳しくなっている現状の中で、それらを購入できる層も限られる。

大きな市場であれば、その間を補うように、コストパフォーマンスが良いものを売る会社が現れるのが通常ですが、そこに参入するほど大きな市場でもない。

つまり全ての会社が性能を追求し、さらにブランディングやマーケティングに走るとスノーボードを始める人にとっての障壁にもなりかねない、非常にジレンマかと思います。

そういったところに一石を投じるためにも今回3万円という価格にてほぼノーブランドなパウダーボードを販売します。
ただし、それが受け入れるのか否かは、正直わかりません。

結果は来年にアップできればと思います。

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この記事を書いた人

生粋のスノーボーダー。
よくお勧めのブランドは?と聞かれるが、ボードはやはりB-POP、ウェアはジーンズメイト、ブーツはNAKED派。来季はMASSOへ乗り換え検討中。
世界各地をバックパッカー、NZ留学、ヨーロッパ自転車横断を経て東京理科大卒業後、金融業界でサンデーボーダーに転身、その後世界一周を経てスノーボード買取専門店のスノーボード買取モンスター(モンスタークリフ株式会社)を創業。

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