スノーボードを少し斜め上の視点から読み解こう

新しい時代の幕開けか!? 最近びっくりしたスノー業界の取り組み4選

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今シーズンは同じスノー業界でも大きく明暗が分かれる年になるのではと感じています。

コロナの影響でインバウンドも期待できず、各ブランドやスキー場におけるビジネスのもっと本質的なところが試され、それが結果的に大きく明暗を分けてくる戦いになる。

そのような中で、今回はコロナという前代未聞、ある意味歴史的なシーズンにおいて個人的に注目している各社の取り組みや動向について紹介したいと思います。

1:SMITHのインセンティブプログラム

ゴーグルやサングラスでおなじみのSMITH。

SMITHがお店ではなく販売店員に対して直接インセンティブを与えるという画期的な取り組みを開始しています。

参照 : SMITH LAUNCHES RETAIL INCENTIVE PROGRAM

これは、メーカーと販売店をつなぐアプリ「エンデバー」を通じて、お店の販売店員に対して売れた商品に応じてインセンティブを払うプログラムとなります。

夏から開始し、今冬は北米全土で予算を拡充して開始しています。

参照 : https://www.endvr.io/

店員はアプリを通じて、製品の特徴や細かい情報を学習できるようになり、メーカーとしては店員と直接コミュニケーションをとりリアルな現場のマーケティング情報を掴むことが可能となっています。

このご時世、同じ時給で働く店員であっても、SNSに影響力を持つ人、そうでない人で待遇を差別化するのはある意味当然の流れといえます。

ただし、それを各お店の判断基準ではなく、メーカーが統一した基準で、さらにお店を通さず直接店員にインセンティブを与えるという点が斬新です。

また、日本のように会社が年末調整等をするのではなく、国民全員が原則個人で確定申告する必要があるアメリカだからこそできることなのかも知れません。

目次

たった1人のインフルエンサーだけで販売店舗以上の影響力

もはや、たった1人のインフルエンサーだけで販売店舗以上の影響力があるケースが多々ご時世、日本でも店員ではなくせめて契約ライダーなどがメーカーを通じて販売した場合などは手数料がライダーに落ちたりする仕組みが最低限必要だと感じます。

ライダーが売ってくれるということは、ある意味最も効率の良い広告宣伝費といえます。

その費用を疎かにしてしまうと、ビジネスをはじめる敷居がどんどん下がっている中で、影響力のあるライダーが自分でブランドを作って販売したり、結果的にメーカー自らの首を締める結果となってしまう気がします。

2:スキー場からスノー施設への転換

スキー場からエンターテイメント施設へ

旧「峰の原高原スキー場」が「REWILD ‘NINJA’ SNOW HIGHLAND(リワイルド・忍者・スノーハイランド)」というに常識をぶっ壊したネーミングに改名して今シーズンよりリニューアルオープンとなります。

直訳すると
「野生に戻った忍者の雪の高原」 です。

「スキー場」ではなく
「雪山エンターテイメント施設」と定義しています。

スキー場は、

  • 冬にスキー・スノーボード
  • 夏にキャンプなどのアウトドア

を推進してきました。

ここ数年は冬の集客に苦戦し、グリーンシーズンに力を入れる施設が多い傾向といえます。

それらの概念をぶっ壊し「雪山エンターテイメント施設」という今までになかった新しいコンセプトで攻める姿勢には好感です。

もしかしたら、スキースノーボードには興味がないけれど、雪の上では遊びたいというニーズがあるのかも知れません。

エンターテイメント施設としてコンテンツをどれだけ準備して楽しめせる仕組みがあるのか、今シーズンは大いに期待しています。

石打丸山もスノーアクティビティへ

参照 : 石打丸山スキー場プレスリリース

石打丸山といえばハーフパイプという印象が強いのですが、今シーズンより「スノーガーデンエリア」をオープンさせます。

以下プレスリリースの引用です。

これまでの冬のスキー場ではスキーを楽しむということに特化してきたが、スキーをしないお客様にもスノーアクティビティをはじめスキー場の魅力十二分に満喫していただけるよう、「スマートなアウトドア」をコンセプトに新たな滞在方法を提案。

端的にいうと、

スキーをしない客層へアプローチ となります。

「スキー場」が「雪山エンターテイメント施設(+スキー場)」という形への業態変化が成功するのか、今後大いに期待できる取り組みだと思います。

異業種からのスキー場参入

外為オンラインなどを傘下にもつ、ITや金融事業を主軸とする会社がマックアースからスキー場を取得しています。
ITや金融とどのような相乗効果があるのか、もしくはこのタイミングでスキー場の取得は投資として効果が高いと判断したのかは不明です。

とはいえ、昨今では、IT企業のチームラボがミュージアムを展開したり、DMMも沖縄でかりゆし水族館を運営したりと、IT企業がリアルなエンタメ施設を運営するケースは目立ってきているといえます。

参照 : 東京・豊洲「チームラボプラネッツ」ニュースリリース

日本のパウダー(ジャパウ)を含めて、日本の雪山は世界に誇れるコンテンツであることは間違いありません。
少なくともアジアでは日本より良質な雪は存在しません。

どちらにせよ他業種からの知見が入ることはスノー業界全体にとってはプラスだと感じています。

3:時代を超越した外観と耐久性を追求した新しいブランドが誕生

参照 Season Eqpt.公式ウェブサイト

プロスノーボーダーのオースティンスミスとプロスキーヤーのエリック・ポラードが新しいスキー・スノーボードブランド「Season Eqpt.」をリリースしました。

他社と一線を画すところが2点

  • 時代を超越した外観と耐久性を追求し、何年、何十年も使えるように設計
  • 寿命を延ばすために無制限の無料WAXサービス
    • ブランドの概念として、

      • スキーとスノーボードは常に同じ立場であり
      • 普遍的なデザインと圧倒的な耐久性を追求し寿命を延ばすことが冬を愛する顧客に対する最良のアプローチである

      ということ。

      アメリカ最大の横乗り系ECサイトEVOと提携し、毎秋に無料WAX等を提供することで、板の耐久性を継続させ、長く愛用することができることをコンセプトとしています。
      値段も499ドル~と破格です。

      参照 Season Eqpt.公式ウェブサイト

      持続可能な社会を目指すSDGsにも合致し、エコやリサイクルなどが注目されている中で、「1つのものを長く使う」ということは、ある意味究極のエコなのかも知れません。

      毎シーズン新しいモデルやデザインが発売されトレンドの動きが早いスノー業界おいて、一石を投じるブランドになりそうな予感がします。

      4:スキー場のクラファンが加速


      参考 : CAMPFIRE 胎内スキー場

      コロナの影響もあり、各スキー場の影響は甚大です。

      その中で、今シーズンはクラウドファンディングに挑戦するスキー場が最も多かった年といえます。

      スキー場 支援額/目標額
      胎内スキー場 2,480万円/3,000万
      やわたハイランド191リゾート 33万/300万
      スノーリゾート猫山 174万/300万
      チャオ御岳スノーリゾート 打ち切り/2,000万円
      いいづなリゾートスキー場 298万円/200万円
      秋田八幡平スキー場 305万/300万

      上記以外にもスキー場をとりまく施設などを含めると多数の事業者がクラウドファンディングに挑戦した年であったと言えます。

      クラファンの中でも最も興味深かったプロジェクトは下記です。

      新潟県岡沢:雪国での暮らし、地の魅力にふれられる滞在拠点を

      参考: READYFOR https://readyfor.jp/projects/yukisato-lodge/announcements

      クラブフィールド妙高などでご存知の方も多い塚田卓弥氏のYUKISATOプロジェクトです。

      スノーボーダーやスキーヤーが「学び、体験、宿泊」を軸に雪国で一年中生活して仕事ができる地域づくりを目指す雪郷(YUKISATO)プロジェクトとなります。

      目標金額 100万円対して200万円を超える支援で達成となっています。

      どうしても「スキー場」に注目がいってしまう中で、「スキー場を取り巻く雪国の環境」にフォーカスしており、スキー場の枠を超え、スノー地域を活性化させるためのある意味本質な取り組みであると感じました。

      おまけ:
      モンクリ、白馬スペシャルを販売他

      白馬の山々を滑るために開発したスノーボード「THE DAY.HAKUBA」を発売しました。

      企画・デザイン・設計・テストを白馬村にあるモンスタークリフが一貫して行い、中国にて生産をしています。
      卸や中間業者をほぼ無くしたD2C形態をとることで全てのパウダージャンキーの足に届く価格帯(3万円+TAX)を実現しています。

      スノーボードとりわけパウダーボードについては、非常に高価なものが多い中で、誰もが手の届く価格帯で誰もが白馬のパウダーを楽しめる、そんな自由なスノーボードを目指しています。

      デッキパッドも開発中

      グラトリや滑りをサポートできる新しい発想のデッキパッドにつきましても現在開発中となります。

      ワンフットでここまで滑ることが可能な今までになかったデッキパッドとなります。

      開発経緯などの詳細はこちらをご覧ください。

      [kanren postid=”6740″]

      さいごに

      各社生き残りやスノー人口の底上げのために、さまざまな取り組みを行っています。

      コロナウイルスの影響もあり、誰もが先を読めない状況で、なにか新しいことをしない限りは現状を打開することは難しいのは確かです。

      小さいことでもなにか新しいことにチャレンジして、スノー業界が少しでも盛り上げるしか道はない。
      クラウドファンディングも身近になりチャレンジできる手段は広がってきている気がします。

      今シーズンは、スノー業界全体が盛り上がることを大いに期待したいと思います。

      その仕事、全部やめてみよう――1%の本質をつかむ「シンプルな考え方」

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この記事を書いた人

生粋のスノーボーダー。
よくお勧めのブランドは?と聞かれるが、ボードはやはりB-POP、ウェアはジーンズメイト、ブーツはNAKED派。来季はMASSOへ乗り換え検討中。
世界各地をバックパッカー、NZ留学、ヨーロッパ自転車横断を経て東京理科大卒業後、金融業界でサンデーボーダーに転身、その後世界一周を経てスノーボード買取専門店のスノーボード買取モンスター(モンスタークリフ株式会社)を創業。

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